激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす
「んー!ここのトルテも最高に美味しい…!」
シシィ博物館とそこに隣接する皇帝居館、さらにフォルクス庭園を見学し、ランチをとるために老舗カフェへと入った。
有名な建築家によって建てられたイタリア風の外観はカフェと言うよりも宮殿で、店内はオレンジ色の照明が重厚ながら温かな雰囲気を醸し出している。
ここでもエリザベートやフランツの肖像画が飾られていて、この街でいかに愛されているのかが伺える。
英語も通じるというウィーンだが、颯真は流暢なドイツ語で千花の分まで注文し、デザートには当然のようにザッハトルテも頼んでくれた。
「昨日のはビスケット生地の食感も良かったんだけど、ここのはチョコに凄いコクがあって濃厚…。幸せ……」
大学では健康栄養学科を専攻し、料理教室にも通っていたので、料理はもちろんお菓子も一通り作れる。
チョコ好きの千花はよく自分でもケーキやクッキーなどを作ったりもするが、やはり本場のトルテは全然違うと感動を覚えた。
ランチを終え、千花にとってはメインと言えるザッハトルテを一口食べるごとに興奮気味に話すのを、向かいで颯真がクスッと笑う。