snowscape~彼と彼女の事情~
「かなりハマってただろ?」
「なにが?」
「UFOキャッチャーだよ」
「ああ」
忘れてた、と思いながらタバコと一緒に白クマのぬいぐるみをポケットから取り出しテーブルの上に置くと、隼人が手にし笑い始めた。
「つーか、なんだコレ。かなりぶさいくじゃねぇ?」
「うっせぇ〜よ、狙ったわけじゃないし」
「亜紀チャン、見てみ?」
「かわいくな〜い」
小さいクマを目の前に、二人は笑い転げている。
「これ、旬持って帰るの?彼女にみやげ?」
「うっせ〜よ、いらね〜って言われるつーの!!」
隼人からそれを奪い取ると、俺の目の前に戻した。
なんだか、俺のことをからわれてる訳じゃないのに無性に腹がたつ。
「友里、これやるよ」
「えっ?友里って……」
微妙な距離にいる友里の膝の上に乗せると、びっくりしたような顔をしながら俺を見つめている。
「……って、いらね〜か」
そんな顔されたら、押し付けられねぇよ……
そう思いながら戻そうとすると「えっ!!いるっ!!!」と凄い勢いで俺から奪い取った。
「あっ、そう。サンキュ♪」
「いや、ありがとうございます」
笑顔で俺にそう言う友里を見ていると、本当に子供のように感じてしまうのはこの小ささなのだろうか?
「かわいくなくてごめんな」
「そんなの、嬉しくないよなぁ〜しかも『友里』って、旬は本当に慣れ慣れしい」
タバコを加え火をつけながら話す隼人を心からウザイと思ったが、
ここは大人しくしてようと、俺も同じようにタバコに火をつけた。
「呼び捨ていやだった?ごめんな」
「え?いや、ぜんぜん平気です、それでいいです!!」
違和感のあるそのしゃべり方に、やっぱり俺は笑ってしまったがなんだか嫌な気はしなかった。