snowscape~彼と彼女の事情~
気がつけば隼人達をずっと見つめながら友里が言った言葉をただ考えていた
二人を見て羨ましいと自分のことのように幸せそうに微笑む隣に座っている女の子は俺からしたら不思議な生き物でしょうがない。
「あたし……」
「え?」
「あんな亜紀を見たことってないんですよ」
いつの間にか俯いていた顔をあげると、友里はまた幸せをそうに微笑んでいた。
「つーかさ、友里って変わってんなっ!」
「えっ?」
「見ててあきねぇ~つーか」
目を見開きながら俺を直視している友里を見ているとなんだかよく分からないが全てを見透かされそうになりそうで
その瞳に吸い込まれそうになる
「えっ??あたし??」
間違いなく俺の言葉に顔を赤らめているだろう友里をなんだか可愛く思ったのは確かで自然と頭をポンポンと撫でていた。
「あっ……」
「悪いっ……」
そう一言漏らすと顔を背けてしまった友里に、俺はなんてことをしてしまったのだろうと自分の手を見つめるばかり
ただ、この娘は他の女とは何かが違う
そう確信した一瞬でもあり、複雑な心境になったことは間違いない。
「亜紀チャンのために歌いま~す!!」
そう突然立ち上がった隼人に亜紀は相変わらずキャーキャー言っていて、
俺から顔を背けた友里は俺の方をチラリを視線を送ると笑顔で笑っていた。