snowscape～彼と彼女の事情～

「旬！携帯なってるぞ？」


俺の着信音で気づいたのだろう。


そして相手が誰からなのか想定して俺に教えてきてくれている隼人はちょっとばかり俺のことを気にしてるじゃんと思ってしまった。


「ああ」



そう言いながらポケットから携帯を取り出そうと、それを掴んだとき「あっ、電話あたしです」なんていきなり友里が自分の携帯をバッグから取り出しそれを開いていた。



「えっ？あれっ？あ、あたしじゃない」



誰もが友里のその行動に“？”マークを頭の上に浮かばせていて、俺はそんな友里を見ながら大爆笑をしてしまった。



「今、鳴ってたのに……」




自分の携帯を片手に一生懸命説明している友里に俺は、自分の携帯をポケットから取り出し「俺のだよ」と、まだ着うたが鳴り響いている携帯を見せた。



「あれ？あ、ごめんなさい」そう恥ずかしそうに友里が言うとその場で俺が出なかったことを諦めたのか電話は切れた。



「もしかして、旬ｸﾝと友里…着信音が一緒だってこと～？」


そうすぐに状況をははくして突っ込んできた亜紀に友里はようやく理解したようで



「えーっ！！うそ？あれ？凄いっ！！」と俺の携帯を自分の携帯を交互に見ながら興奮していた。



「そりゃ凄いな～ど～りで間違えたわけだ」



隼人がそう友里に言うと、隣で「あたし達も同じのにしたいな」なんて恥ずかしそうにしている亜紀に再び俺は爆笑してしまった。



「あ、の……電話出なくて平気なんですか？」


自分のせいで、俺が電話に出れなかったとでも思っているのか友里は突然申し訳なさそうに聞いてきている



「大丈夫だよ、女だし……俺今ジムにいることになってるから」


「か、かのじょ？そうなんですか……」


「うん」



俺は出していた携帯を再びポケットにしまうと、友里は自分の携帯を寂しそうにじっと見つめていた。