snowscape~彼と彼女の事情~
「つーか、それなに?すげーなぁ~」
下を俯いている友里をご機嫌を取るかのように、ひたすら会話を探している俺
そこにはきっと間違いなく似合うはずもない笑顔なんてもの浮かべたりなんかして……
なんで俺が機嫌なんてり取らなきゃいけないんだ?
そう少なからず思ってもみたが、どうやら目の前にいる女の子は、今まで俺の傍にうろつきまくっていた女たちとは少々分類が違うみたいで……
むしろ、こんな女の子がまだこの日本にいることじたいプレミアに近いのかもしれないけど
かと言って、俺には若干扱いづらいとも言える。
なんせ、いつもなら隣にいる女が勝手にしゃべり続けて、俺を観察して、しまいには俺の傍に体を密着してキツイ香水と共に似合いもしない上目づかいで俺が誘うのをまだかとしっぽを振り続けてくる。
俺が話さなくても、自分の話に酔いしれているだろうと勘違いをし、俺の無口さにドキドキを感じたりなんかして
しまいにはそんな雰囲気に勝手に酔いしれる
そこまでくりゃ、後は目の前の女を抱いてしまえばいいだけの話だ。
別に俺が話しかけなくても、相手にしなくても傍にいるだけで勝手に展開して満足するのだから。
「えっ?あ、これは携帯で……」
“そんなことをは見ればわかるよ”そう突っ込みそうにもなったが、また俺をびっくりした顔で見つめるであろう友里になんとなくその言葉は口から出ることを拒否していた。
「アハハハハッ」
「あ、そんなの見れば分かるよね?あたし何言ってんだろう」
そう恥ずかしそうに俯きながら言い始めた彼女を見ながら、やっぱり言わなくて正解だったじゃないかと自分に言い聞かせていた。