snowscape~彼と彼女の事情~
「どした?」
後ろを振り返ってみれば、ぽか~んと口の開けた友里……
そして、その視線を辿ると、隼人と亜紀たち二人へと向けられている
んっ………!!!!
「あっ!!!」
思わず、友里の目を自分の手で覆い隠すと「隼人っ!!」と大声をあげた。
「んっ?」
「お前ら何やってんだよ!!」
そう言うと、後ろから友里のクスクスと笑う声と共に、隼人と亜紀の二人の笑い声も重なった。
「はっ?なんだよ、お前ら」
「アハハハッ!!つーか、旬っ、お前はなんだよぉ~ハハハハッ!!」
「えっ?」
「あたし、子供じゃないし……」
申し訳なさそうに笑う友里に、友里の目を覆っていた手が下りた。
「お前バカか?」
「旬クン、おもしろ~い!!友里が子供扱いだよぉ~」
腹を抱えて笑っている、隼人の隣にいる女を本気で消してやろうかと思った一瞬だった。
ああ、俺が笑いの的か……
そう考えが行きつくのに相当な時間がかかったであろう。
そして、それが分かった瞬間、なんとも言えない恥ずかしさと怒りがこみ上げてきた。
俺は、隼人と亜紀の濃厚すぎるキスを友里に見られちゃまずいと目を塞いだのだ
「大丈夫だよ、ありがとね、亜紀がキス魔なのは知ってるから♪」
そう耳打ちしてくる友里に「ああ」と言うと、俺はソファーに腰かけた。
再び、隼人と亜紀のじゃれあっている姿が目に着く
なぜか俺は、友里にこういう世界を見て欲しくないと思ってしまった。
それが、咄嗟に出たさっきの行動だった。