【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
「どうしたの?藍」
「ん~~~……朱莉ちゃんも真白ちゃんもいいなあって思って。
ねぇ、桃菜ちゃん。藍の卒業式にも来てくれる?」
純真な瞳をこちらへ向け、そう訊ねて来る。
その藍の言葉に一瞬小早川家の住民がシンとなるのが分かった。
そりゃあそうだ。
私は今、たまたま小早川家でお世話になっているだけ。
藍の小学校卒業まで、後二年。 そんな長い期間、小早川家でお世話になるつもりはない。
いつかは別れが来てしまう。軽はずみな約束をして、まだ幼い子供を傷つけるわけにはいかない。
そこで助け舟を出すように真白が言った。
「藍の卒業式には私が行ってあげる」
「ええー…藍、桃菜ちゃんがいい…」
そう言って甘えた声を出す藍を愛しく思わない筈がない。 まだまだ小学生なんだ。
それに藍には亡くなった母親の記憶があまりない。
だから寂しくないはずがない。 その気持ちが分かるからこそ、軽はずみな約束はしたくなかった…けれど
ゆっくりと藍の頭を撫でて言った。