【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

「でもぉ~…桃菜もう大人だよ?!
親の了承なんて得なくたって結婚は出来るもんッ…
ね?だから帰ろう…?」

「こういう事はきちんとしなくちゃいけない。
親父さんだって娘の結婚相手がどんな奴か分からないと不安だろう?」

「お父さんなんて…桃菜の事全然気にしてないから大丈夫だってばあ~~…
行きたくないよぉ~」

お父さんが私の心配をしているはずがない。年に数回の安否確認以外は連絡だってありはしない。
それでも碧人さんは結婚のご挨拶はきちんとするべきだと私を実家へ連れ出した。

私の結婚なんて家族全員興味がないよ……! 興味なさすぎて碧人さんが家族から冷たい態度を取られるのも嫌だ。

なんといってもうちは小早川家とは全然違うんだ。

行く、行かない、の押し問答を家の前でしていたら、玄関の扉が開いてそこには見知らぬ男の子が立っていた。

「あのー……もしかして、姉ちゃん?」

’姉ちゃん’と呼ばれて、懐かしい思い出が一気に蘇っていくようだった。
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