【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

「た、拓斗?!」

拓斗というのは私の腹違いの弟である。
確か私が6、7歳の時に産まれた。父が再婚してすぐに産まれた弟である。

母が違うので全く弟だとは思えなくって、小さい頃から関りは余りない。 拓斗が小さかった頃は私の後をついてきたがったものだが、それを拒否したのも私だ。

それから物心がついてから今まで、殆ど会話はした事がない。

「やっぱり姉ちゃんだ。家先がガヤガヤしているなあーって思ったら」

「本当に拓斗なの……?
あんた、大きくなったわね?」

「アハハ、当たり前じゃん。俺もう19歳だよ?」

「ええー?!もう19歳になったの?!」

高校卒業を機に家を出た頃、拓斗はまだ中学生になる頃だった。
当たり前だけど、私の七年と拓斗の七年じゃ成長具合が違うだろう。

一言でいえば、拓斗はすっかりと大人になっていた。
まだまだあの頃は私より小さかったのに。
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