【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
…本当に口の減らない中学生だわ。 そもそも勘違いなんかしてないし、碧人さんに優しくもされてない!
寧ろ意地悪ばかりされてるし、いっつもからかわれている。 …けれど不思議とそれが全然嫌ではなかったのだ。
「それに私はあお君と小さな頃から動物園には何回も行ってるんだからね」
変な所で張り合っちゃって呆れる程ブラコンだ。 まあ、碧人さんも相当なシスコンではあると思うけど。
「ふ~んだ。 真白、桃菜にヤキモチ妬いてるんでしょ~?
大好きなお兄ちゃんが取られるの嫌だもんね~?」
「なッ…そんな事思ってないわよ?! 大体あお君があんたなんか好きになるわけないんだから!」
「へへ~ん、そんなの分かんないよぉ~だ。そのうち碧人さんも桃菜の可愛さにやられちゃうかもね~。
でも安心して~桃菜全然碧人さんみたいな男タイプじゃないから~」
「おばさんにあお君は勿体ないわよ!」
「はいはい~そ~ですか~」
真白と言い合いをしていると、ぐいっとエプロンの後ろ袖が引っ張られる。
振り向くと、そこにはペンギンのぬいぐるみを抱えた藍の姿があった。
エプロンで手についた水滴を拭い、藍の背丈に合わせるように身をかがめる。