【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

真白の言葉に、碧人さんはプッと小さく吹き出す。
何をもう!別に碧人さんと恋人になんか見られたくないけど、失礼しちゃう!
大体’おばさん’で’ガキ臭い’って何よ。 矛盾してるんだから!

今日もぎゃーぎゃーと騒がしい小早川家の食卓で、碧人さんが下を向く藍の頭を優しく撫でる。

「藍も今度の連休一緒に動物園行こうな?」

「うん!あお君!」

私には絶対に見せないであろうとびっきりのスマイルを碧人さんに見せると、藍は嬉しそうにペンギンのぬいぐるみを抱きしめた。

それにしても今日は良い一日だった。
真白と一緒にキッチンに立ってお皿を洗いながら思わず鼻歌が漏れる。

すると真白は碧人さんそっくりな変な顔をしてこちらを見つめる。 …たく、顔はあんまり似ていないくせにそういう表情はそっくりなんだから。

「何浮かれてんの?気持ち悪いなあー」

「別に浮かれてなんかないですぅ~」

「あお君と二人で動物園に行ったからって調子に乗らないでよ。
あお君は誰にでも優しいから、その優しさを勘違いすると痛い目にあうわよ」

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