嘘カノでも幸せになれますか
放課後になり咲希と別れて、私はドキドキしながら昇降口へと向かった。
昇降口に着くと、壁にもたれ掛かりスマホを操作している暖先輩がもう私を待っていた。
数人の女の子たちが少し離れた場所で暖先輩を見てキャーキャー言っている。
本当に人気のある先輩なんだな。
うん、確かにこうして見ていると私とは違う世界に住んでいる人の様に暖先輩からキラキラオーラが発せられている。
私、今からそんなキラキラ先輩に声を掛けなきゃならないの?
むっ、無理です。どう考えても無理。
暖先輩に背を向けて一人ブツブツ言っていると、すぐ後ろから
「ねぇ、何ブツブツ言ってんの? 俺、待ってたんだけど。来てるなら声掛けてよ」
「キャッ! キラキラ先輩っ」
「はぁ? なんだそれ。もう帰れるんだろ、行くぞ」
「は、はい。靴に履き替えてきますので、先に行っててください」
「お前さ、俺が先に行ったら話ができないだろ。いいから早く履き替えてこい」
ふぅ。一体、暖先輩は何に付き合わせようとしているんだろう。
いきなり二人きりになるなんて無理だよ。
ああ、どうしよう。何を話せばいいんだろう。