嘘カノでも幸せになれますか

考え事をしながら靴を履き替えていると、また暖先輩に見つかってしまった。

「ねぇ、さっきから一人で何言ってるんだよ。行くぞ」

私は暖先輩の少し後ろを歩こうと一歩下がると、それを見た暖先輩が

「俺と歩くときは隣を歩けよ。なんで後ろに行こうとするんだよ。そんなに俺が嫌だったなら断れよな」

「そんなこと言われたってさ、私が返事する前に通話切ったのそっちじゃんか」

「ん? 何か言ったか?」

あっ、やばっ。心の声が漏れてた。

「なっ、なんでもないです。文句なんて一つも言ってないです」

「ぷっ、はははっ。さっきから全部聞こえてるから。でも言いたいことはハッキリ言えよ。遠慮するなよな。俺、ダチにキャラが怖いって良く言われるけど、怖くないから」

「自分で怖くないとか、言っちゃうんだ。ふふふっ」

目を細めて笑う暖先輩の顔が可愛くて、私もつられて笑った。
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