【新装版】BAD BOYS
──放課後。
授業終わりのチャイムが鳴ると同時に「おわったー」と疲れた様子で声を上げていた桃は、どこからかまた合コンの話を拾ってきて、元気に出かけていった。
……よくもまあ、そんな合コン話がゴロゴロ転がってるわね。
先に飛び出していった桃を見て、思わず杏子と顔を見合わせる。
「杏子、今日もバイト?」
「ええ。いまから行ってくる」
「そっか、じゃあまた明日」
「うん、また明日」
無理せずね、と彼女に告げて。艶やかな黒髪を靡かせ、颯爽とバイトに向かう杏子を見送る。
わたしも家に帰って、そのあとスーパーまで晩ごはんの買い出しに行こうかな。丁度食材がお安くなり始める頃だろうし。
……ああでも、ご飯作るのめんどくさいな。
どうせひとりだから、今日は外で済ませてしまおう。
スーパーに向かう足を、途中で商店街の方へと変更する。
どこの店にするか悩んでいたとき、後ろからぽんぽんと肩を叩かれた。
「お嬢さん。おひとりですか?」
「………」
振り返れば、見間違えることの無いコバルトブルー。
やわらかな色気を振りまくその姿は、2年前とまるで変わらない。
「……もしかして、学校からつけてたの?」
桃から、わたしが白金高校に通ってることくらいは知らされてるだろう。
イケメン好きな桃が『花舞ゆ』の話を聞いて飛びつかないわけがないんだから、先に彼女に忠告しておくべきだった。