【新装版】BAD BOYS



「ノロケじゃないなら何なの?」



「ただ質問に答えただけだけど?」



「もー……まあいいや。

あっ、そういえばね、昨日合コン行ったらね、」



「……また合コン行ったんだ」



「でも今回はめちゃくちゃラッキーだったの……!

ものすごいイケメンがいて!目の保養!」



途端にキャピキャピとはしゃぎだす桃。

イケメンねえ、とひとり考えるわたし。ノアは誰もが認めるくらいに顔が整ってるし、イケメンではあるけど。彼には外国の血が若干混ざってる。



瞳にグレーが掛かっているのもそのせいで。

それもまあ、彼の魅力の一つではあるけれど。




……っていうか、合コンにイケメンが来る、ってちょっと裏がありそうで怖い。

本当は彼女持ちか、はたまた端から遊び相手を探しに来ているか、本気で合コンに来たなら激しく性格に難があるか。



ああでも、彼女と別れたから来てる、っていうのも無くはないか。



「でね、結局誰のことも選ばなかったんだけどー。

実はその人、『花舞(はなま)ゆ』の関係者だったの」



桃にしては、めずらしく。

声をひそめて放たれたそれに、ぴくりと肩が揺れる。運良く誰も、気づいてないみたいだけど。



──花舞ゆ。

この地域に、もう30年近く存在する組織。ざっと説明すれば、地元の不良チームだ。



地元の居酒屋さんを経営してる主人もそのお客さんも『花舞ゆ』の歴代メンバー、なんてこともめずらしくない。

そんな『花舞ゆ』は、近頃女子高生の間で話題になっていた。



「でね?

その人とずっと話してて、友だち、って言わなきゃいけなかったんだけど、思わずわたしいつもの調子で"はなび"って言っちゃって」



< 7 / 463 >

この作品をシェア

pagetop