【新装版】BAD BOYS
「ノロケじゃないなら何なの?」
「ただ質問に答えただけだけど?」
「もー……まあいいや。
あっ、そういえばね、昨日合コン行ったらね、」
「……また合コン行ったんだ」
「でも今回はめちゃくちゃラッキーだったの……!
ものすごいイケメンがいて!目の保養!」
途端にキャピキャピとはしゃぎだす桃。
イケメンねえ、とひとり考えるわたし。ノアは誰もが認めるくらいに顔が整ってるし、イケメンではあるけど。彼には外国の血が若干混ざってる。
瞳にグレーが掛かっているのもそのせいで。
それもまあ、彼の魅力の一つではあるけれど。
……っていうか、合コンにイケメンが来る、ってちょっと裏がありそうで怖い。
本当は彼女持ちか、はたまた端から遊び相手を探しに来ているか、本気で合コンに来たなら激しく性格に難があるか。
ああでも、彼女と別れたから来てる、っていうのも無くはないか。
「でね、結局誰のことも選ばなかったんだけどー。
実はその人、『花舞ゆ』の関係者だったの」
桃にしては、めずらしく。
声をひそめて放たれたそれに、ぴくりと肩が揺れる。運良く誰も、気づいてないみたいだけど。
──花舞ゆ。
この地域に、もう30年近く存在する組織。ざっと説明すれば、地元の不良チームだ。
地元の居酒屋さんを経営してる主人もそのお客さんも『花舞ゆ』の歴代メンバー、なんてこともめずらしくない。
そんな『花舞ゆ』は、近頃女子高生の間で話題になっていた。
「でね?
その人とずっと話してて、友だち、って言わなきゃいけなかったんだけど、思わずわたしいつもの調子で"はなび"って言っちゃって」