【新装版】BAD BOYS
……ものすごく、嫌な予感がする。
心臓が変に脈打ちだして、思わずシャツの胸元をぎゅっと握り込んだ。
「その人が、はなび、って名前に反応したから。
わたし、はなびの写真見せちゃったんだよね」
「、」
「……連絡先渡しといてほしいって」
そう言った桃がカーディガンのポケットから出したのは、カラオケボックスのロゴが入ったコースター。
裏の白紙の部分に綺麗な字で、ケータイ番号とメールアドレスが悩んでる。
「『電話でもメールでもいいから連絡して。3日連絡なかったら、学校の前で待ち伏せする』って伝言。
ちゃんと伝えたからね?連絡しなよ?」
脳裏に浮かぶ、コバルトブルー。
文字を見ただけで誰かわかる、なんて、ほんと。
「……椿、ほかに何か言ってた?」
「ううん。
『それ渡してくれたらたぶんわかる』って言ってたけど……よく椿くんだってわかったね」
女子高生に話題の、『花舞ゆ』。
それは今のメンバーが美形揃いらしい、という噂。あくまで噂。けれどそれがただの噂でないことを、わたしが一番知っていた。
たとえ噂でも、美形揃いなら『花舞ゆ』のメンバーとお近づきになりたい女の子はたくさんいる。
もちろん個人個人でメンバーにも女友だちはいて、自分が『花舞ゆ』に入っていることを椿みたいに言ってる人もいる。
だけどその他メンバーについては、他言無用。
おかげでひとりと知り合いでも、『花舞ゆ』のメンバーと複数人知り合いな子は滅多にいない。
「まあ……仲、良かったから」
現在の『花舞ゆ』のメンバーのほとんどを知っている女の子。
……たぶん、いまは、わたしだけだ。