私達は結婚したのでもう手遅れです!
第31話 執念
涙がこぼれた―――こんなの酷すぎるよ。
さすがヤクザ。
容赦ないよ。
私はす巻きにされて、ミノムシみたいに転がっていた。
もっと他になかったの?
まるで、荷物みたいに転がされちゃっている。
暗い和室の中でゴロゴロと転がるしかない私の状況。
なにがどうなってこうなってしまったのかわからないけど、さらわれたのだろうなということだけはわかった。
礼華さんに誘われて、カフェに行ったところまでは覚えている。
美味しいケーキがあると言われて、わくわくしていた私。
一階のカフェに行き、席について待っていると運ばれてきたのは赤い大粒のイチゴがドンッとのったロールケーキだった。
真っ白な生クリームに赤いイチゴが包まれ、卵色をしたスポンジ、いい香りがする温かい紅茶。
期待以上のロールケーキだった。
それなのに一口も食べれなかった。
あんこと違って生クリームなんて滅多に口にできないのに……
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