私達は結婚したのでもう手遅れです!
父ともそうだった。
本当の父子なのに二人の間は師匠と弟子みたいな関係でちょっと気になっていた。

「姉さん。母さんがすみませんでした。三千万円も義兄さんに肩代わりしていただいたとか」

「あっ!それはいいのっ!冬悟さんは回収できた―――ううんっ!え、えーと。ちゃんと帳尻はあったって言ってたから」

こんな真面目な帆希に言えないよっー!
継母が矢郷組借りたお金は嶋倉が経営するホストクラブに全部貢いでいましたなんて!
だから、貢いだお金をぽんっとそのまま矢郷に戻しただけ。

「帳尻って?」

「いいからっ!気にしないで」

「気にするよ」

うっ……!
確かにそうだよね。
どう説明しようかと思っていると、店の自動ドアが開いた。

「羽花」

「冬悟さん!どうしたんですか?お仕事中じゃないですか?」

もしかして、愛妻(私)に会いたくて寂しくなっちゃった?
なんちゃって―――

< 285 / 386 >

この作品をシェア

pagetop