私達は結婚したのでもう手遅れです!
第13話 決意
仕事を終えてマンションに帰ってきた私と冬悟(とうご)さんは不自然なまでに礼華(れいか)さんのことについて触れなかった。
私から『婚約者がいらっしゃるんですよね?』と確認するべきなのはわかっている。
お弁当箱を片付けて戻ると冬悟さんがスーツの上着を脱いでいた。
それだけなのにドキドキしている自分。
きっと礼華さんならこれくらいなんでもないことなんだろうな。
自分を見ていることに気づいた冬悟さんが私を見て、にこりと微笑んだ。

「お弁当ごちそうさまでした。羽花さんは料理上手ですね」

「そうですか?よかった……また作りますね」

ほっとしている自分と『また』があるのかなと思う自分がいた。

「着替えてきますね」

クローゼットルームに行って、自分がここにきた時と同じ着物を手にして着替えた。
一度、家に帰ろう。
そして、冷静になってから付き合うかどうか考え直そう。
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