【書籍化】利害一致婚のはずですが、ホテル王の一途な溺愛に蕩かされています
口下手でおっとりした私や父が敵うわけもなく、二つ下に出版社務めの弟もいるが、これには『ネタだ』と面白がっているだけ。つまり家の中は独裁政権状態。

別れたなんて知れたら、大変なことになる……!

「今までは『彼氏がいるから』ってどうにか逃れてきたけど、次に帰るときは厳しいかも……。会社辞めちゃったし、勘と尋問がすさまじくて」

「嘘がつけなくて押しに弱い気弱な咲笑には、おばさんをやり過ごすのは難しいだろうね。それも来月おばさんの誕生日じゃない。どうするの?」

「――っぐぅ」

思わず唸った。

両親の誕生日には、実家で過ごす。これは弟が社会人になってからのふたりの約束ごと。なかなか家族が揃うことも少なくなり、両親はこのイベントを死ぬほど楽しみにしている。

でも、察しのいいお母さんに会えば、破局したことがバレるのは確実だし。そうなれば、あれよあれよという間に『本日は、お日柄もよく……オホホ!』なんて事態に発展しかねない。そうなれば式までも強引に一直線……。

あぁ! やだやだ! 人見知りなのに、知りもしない、ましてやお母さんの選んだ男性とお見合い結婚なんて、絶対無理だ!
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