【書籍化】利害一致婚のはずですが、ホテル王の一途な溺愛に蕩かされています
「暑い暑いー」なんて言いながら、空港でお揃いで購入した軽やかなワンピースに着替える私たち。同じ3月でも日本に比べてこっちはジメジメとむし熱い。

お城みたいな客室に興奮したり、持ち寄った私服を見せ合ったり、そんなふうにきゃあきゃあ過ごしていると、30分ほどしてインターホンが鳴った。

「みゆき、咲笑ちゃん、お疲れ様」

約束していた陵介くんだ。チャンギ国際空港に降り立ったときに、みゆきの方に『二人に渡したいものがある』と連絡をくれていた。三揃えのスーツをきっちりに着こなした、目鼻立ちのはっきりした端正な顔には汗が滲んでいる。

みゆきが嬉しそうに駆けつけ、絶景の見渡せる明るいリビングルームに移動して、大理石のテーブルを3人で囲む。

「時間取らせてごめんね。今夜のパーティーの受付は、もう俺の方でさせてもらったから、これ渡しにきたんだ」

陵介くんは少し急いでいるのか、挨拶も早々に、スーツのポケットから取り出したクリアのパスケースをみゆきと私に手渡した。

なんだろう? 
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