【書籍化】利害一致婚のはずですが、ホテル王の一途な溺愛に蕩かされています
でもでも、今回は仕事とは真逆だ。みんな出会いを求めてるわけで。それも相手は大富豪でしょ? 慣れてない相手との日常会話なんて何を話せばいいか分からない。外見通り完全に口下手な私。

「とにかく、ほとんどが凌介の知人だから安心して? 婚活パーティーとはいえ無理に話すことはないわ。私も近くにいるから大丈夫」

「うーん……」

自信なさげにうつむいた、その瞬間

「……おばさんの持ってくるお見合い、したくないんでしょ?」

みゆきが地の底を這い上がってくるような声を出した。

――ゲッ! ピクン!と背筋を伸ばす私。

そうだ。ここで頑張らないと、お母さんの持ってくるお見合いをするしかなくなってしまう!

みゆきに煽られるようにして、会場となるリゾートプール傍のラウンジへ足を踏み入れる。


――開催ニ十分前の、午後五時四十分。

受付で貴重品を預けて、カードを首からぶら下げてラウンジに入る。開催三十分前から開場している広いラウンジ内には、すでに多くの参加者が談笑していた。

高い天井。連なる大きなシャンデリア。ラウンジというよりかは、ダンスホールと言ったほうが近い綺羅びやかな空間。
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