【書籍化】利害一致婚のはずですが、ホテル王の一途な溺愛に蕩かされています
はじめは“さくら”である自分たちの立場を気にして無視しているのかな? と思って相槌を重ねていたけれど。たぶんちがう。私に気遣ってるんだ。

彼女の瞳はたまに無意識に陵介くんを追っているもの。

みゆきは昔からそうだ。歳の離れたお兄さんがいて甘えっ子のくせに、気弱な私の対しては『私に任せなさい!』精神で守ってくれようとする。

でも、こういうときくらいは、ちゃんと甘えてほしい。大好きな彼女が、凌介くんを大好きな事は、誰よりも知っているんだから。

「みゆき」

どうでもいい話をペラペラ続ける彼女に、シャンパンをぐいっと押し付け、話を差し押さえる。バカラのグラスであることに気付きギョッとしそうになったが、努めてみゆきを強く見据えた。

「咲笑……?」

「みゆき、私は大丈夫だから、行っておいで」

「え?」

本当のこといえばものすごく心細いけれど、自分のぶんのシャンパンを傾けて余裕をアピールしてみせる。

どのみちイベントが始まれば、みゆきの後ろで縮こまっているわけにはいかないのだ。

「私も私で、美味しい料理でも食べて楽しむから、行っておいで。夜も陵介くんの部屋でごゆっくり……ふふっ」

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