【書籍化】利害一致婚のはずですが、ホテル王の一途な溺愛に蕩かされています
無意識に見惚れる。

「――いきなり失礼。陵介にはお世話になっていてね。偶然にも君の心遣いを目にしていたら、声をかけずにはいられなくて」

会話をはじめたみゆきたちに視線を配り、我に返った私を見て、ニコリと上品な笑みを浮かべる。まるで、映画のワンシーンから出てきた王子様のような人だ。

「さっきから助けてほしそうな顔でこっちを見てたから、きっと喜ぶと思うよ」

優しげな声色。どうやら彼も陵介くんと親しいらしい。緊張しつつも少しだけ警戒心が解ける。

「……お知り合い、だったんですか。私も、二人にはお世話になっているので、喜んでもらえたら幸いです……」

「とても友達思いなんだね」

色素の薄い端正な顔がふわりと頬を緩め、全身が甘く震える。

ここにいるということは、おそらく企業経営者や肩書のある男性なのだろう。しかし、周囲と同列なはずなのに、品のある振る舞いも口調もなぜだか卓越しているように見えてしまう。甘いマスクのせいだろうか。

トクン、トクンと無意識に鼓動が高鳴る。

「――あのぉ、すみません〜!」

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