【書籍化】利害一致婚のはずですが、ホテル王の一途な溺愛に蕩かされています
深いため息が止まらない。

胸に顎がくっつく勢いで項垂れていると、ふいにトモキの言葉が脳裏をよぎる。

『咲笑って大人しいよなぁ。俺、明るい子の方が好きなんだけど』

そう言われたのは、付き合ってすぐの頃だっけ。

引っ込み思案で、思ったことをあまり口にできない私。そんな自分が好きなわけではないけれども、性格というものは、なかなか直せないものだ。

それすらも理解して付き合ってくれたのかと思ったけれど、きっと彼は違ったのだろう。

だからあの頃……ちょっとでも変われれば、と思って髪を切ってカラーリングをしてみたり。メイクをみゆきに教えてもらったりしたっけ。

でも、明るくなったは外見だけで、中身は引っ込み思案で気弱なまんまだ。

こんなんだもん、明るくて輪の中心にいるようなトモキなんて合うわけがないよね。こうなるのは当たり前のことだったのかもしれない。

はぁ――…。

――ってダメダメ。トモキのこと考えて、どうするの! 次の恋に行くために、ここまできたのに!

次は、私のことを大切にしてくれる人とお付き合いして、幸せになるんだから。

優しくて、穏やかで、紳士的で??。

< 29 / 36 >

この作品をシェア

pagetop