【書籍化】利害一致婚のはずですが、ホテル王の一途な溺愛に蕩かされています
そう心で呟いた瞬間、ふとさっき会場でやりとりをした綺麗な男性がぼんやり脳裏に浮かぶ。

誠実そうで、まさに理想通りの人だった。会話を交わしたのは一瞬だったのに、あの優しげ笑顔が瞼の裏に焼き付いて離れない。

あんな素敵な男性と結ばれたら、これ以上のことはないだろうな……

――まぁ、婚活パーティーから逃げてきた私に、そんな都合のいい話しあるわけないよね。

そうやって、何度目かのため息をこぼした、そのとき。

「――ここにいたんだ」

リゾートプールに響き渡る声に、私は飛び上がった。

声の方に顔を向ければ、なんと、今まさに思い浮かべていた人物だ。柔らかそうな髪を揺らし、ヒラヒラと手を振りながらプールサイドをこちらに駆け寄ってくるではないか。

「――え?」

混乱のあまり短く声をあげる。

「あぁ、良かった、部屋にもどっていたらどうしようかと」
彼は安堵した様子で、側に片膝をついて腰を下ろす。

どうして私を探しているのか理解できず、王子様のように美麗な彼をポーっと眺めた。しかし、すぐに頭を切り替え慌てて口を開く。

「わ、私……ですか?」
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