【書籍化】利害一致婚のはずですが、ホテル王の一途な溺愛に蕩かされています
失恋して婚活だなんて伝えたら非常識だろうか。失礼だと怒られるかもしれない。

しかし、心配とは裏腹に、隣からはクスクスと聞こえてきた。

「気にしなくていい。ありのままに話してほしい。俺は、君のことが知りたいと思って質問してるから」
さっきも見せてくれた優しげな笑顔に、ぽやんと見惚れる。

私のことが知りたい……? 夢みたいなセリフだ。どうしよう、胸がドキドキ高鳴る。

「歳はいくつなの?」

「に、……二十五です」

「なら、俺の六つ下だね。俺は三十一。ちなみに名前は、優しいってかいて『すぐる』」

――すぐるさん。

物腰が柔らかくて自然体。だけどちゃんと私の求める距離感を保ってくれる。とても魅力的な男性。初対面なのにこんなにも気兼ねなく会話が出来るのははじめてだ。

その後も色んな質問をされた。職業だとか。趣味だとか。もちろん彼の職業も教えてくれた。

なんとなく洗練された風貌から察していたが、企業経営者らしい。

お父様が大きな会社の代表で、現在動かしているのは自分と弟さんだと教えてくれた。私のことも事情により退職し求職中であることを告げた。
< 33 / 36 >

この作品をシェア

pagetop