【書籍化】利害一致婚のはずですが、ホテル王の一途な溺愛に蕩かされています
肩書きはされども、こんなに眉目秀麗だなんて……。何度も彼の整った顔をチラチラ確認しまった。

「――でも、……なんで恋人と別れたの?」

そんなふうにしていくつもの質問を重ね、私の肩の力が抜けた頃。さり気なく、けれども心底疑問とでも言いたげに、そんな質問が投げられた。

反射的に端正な顔を見上げる。視線が絡まると彼の表情がかすかに揺れたような気がした。

「不躾な質問申し訳ない。こんなに素直で良い子なのに、なんでだろうと考えてしまってね。さっきも、なんだか思い詰めたような顔をしてたし……」

会場でもそうだったが、彼はとても人のことを見ているらしい。

「よかったら、聞かせてくれないかな?」

褒め上手な上に、ひどく優しい声に心が綻んでいった。

ぽつりぽつりと、トモキとの別れからこのパーティーの参加に至るまでを掻い摘む。
本当だったら、知り合って間もない男性に身の上話をするなんて考えられない。

けれども。この日限りだと思って気が緩んだのか。はたまた、聞き上手な彼にほだされたのか。

心優しい彼に縋り付きたくなった。

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