【書籍化】利害一致婚のはずですが、ホテル王の一途な溺愛に蕩かされています
あまりの大きくはない、こぢんまりとぱちくりした二重まぶた。高すぎない平凡鼻。今ではダークブラウンの緩いパーマの入ったボブヘアだけれど、トモキと付き合うまではカラーリングもしたことがない、日本人形みたいな髪型だった。

奥ゆかしいなんて言ったのは、その素朴な外見と、たぶん、言いたいことをうまく口にできない引っ込み思案性分せい。

みゆきはよく“清純派”と言ってくれるけれども、私からすれば、大きな猫目が特徴的の正統派美人のみゆきが羨ましくて仕方ない。

私なんて、ただの、地味なだけなのに。

なんて思いで整った顔をじぃーっと見つめていると、

「――それで、おばさんには、破局したこと言ったの?」

一番私が恐れていた話題が降りかかってきた。思い出したくない。と思っていたのに。一涙と鼻水が一瞬にして冷める。

かくいう親友でもある彼女とは五歳からの付き合い。実家の隣の豪邸に住んでいる、T&Y役員の両親をもつお嬢様がみゆきだった。これまでずっと一緒だった彼女において、うちの家庭内事情で知らないことはないわけで。

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