わけあってイケメン好きをやめました
「あの……一応言っとくね。虹磨さんが部屋にいて驚いたと思うけど、あの人とは本当になんでもないから。社長と社員、大学の先輩と後輩、ただそれだけなの」

「わかってます。ふたりの仲を疑ってはいません。でも、俺より先に美和さんのそばにいた虹磨さんに嫉妬しました」

 誤解はしていなかったみたいでホッとした。
 それよりも、まだ“嫉妬”してくれるのだと思ったら、こんな状況なのにちょっぴりうれしい。

「寝てないし食べてもないって、仕事をがんばりすぎちゃったんですか?」

 徹平くんが労わるようなまなざしを向けて私の髪をすくい、そっと耳に掛けた。
 その行動と顔の近さに、ドキッと心臓が跳ね上がる。

「……ううん。違う。徹平くんが話があるっていうから、そのことばっかり考えちゃったんだ」

「え?」

「あ、でも、はっきり言ってくれていいよ。振られるのはなんとなくわかってるから」

 鼻の奥がツンとしてきた。だけど泣いたらダメだ。
 口をキュッと横に引き結んで、徹平くんから目を逸らした。

「この二ヶ月、あなたになにもしてあげられなかったね。至らない彼女でごめんね」

「ちょっと待って。振られるって……俺が美和さんを振ると思ってるんですか?」

「うん」

「そんなわけないでしょう!」

 大きめの声を出されて、思わずのけぞってしまった。
 次の瞬間、ガシッと力強く両肩に手を置かれ、再び視線が交錯する。

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