アクセサリーは 要りません
「はぁ〜ホンマあの人
洒落ならんパワーやわ。
宇部先生、
巻き込まれるのが困るなら、
私からも言うからね」

カツ丼を待つ間、
石川先生の声が疲れていた。

「お疲れ様です。
石川っち大丈夫っすか?
ツッキーに
パワー吸い取られたんですか?」

と山口先生もカウンターへ
笑いながら来ていた。
私はぺこりと会釈した。

「おぉ、伊吹か。
ツッキー?あぁ、築地さんか。
いや、あの人シャレならんよ。
うちで夕飯食べたりして
奥さんと仲良くなってたり。
俺の悪口とかむっちゃ知ってそう。
怖いわ〜
お前もそのうち分かるで」

「いやいや、
俺は既に昨日歓迎という名の
洗礼受けましたよ。

『我が家の織姫もろて〜』
って言ってました」

「あ!それ俺もさっき聞いた。
え?『織姫もろて』
バージョンあるん?

俺、言われた事ないって
どー言う事?
言われて嬉しないけれど、
言われへんのも腹立つわ。

俺ここへ来て10年、独身9年も
あったんやで?
新任で高2の伊吹に教えてる
時も言われた事無いって。。。

宇部先生なんて初対面で
言われてるんやで」

半分ふざけて(多分)落ち込んでいる石川先生よりも、美味しそうなカツ丼が気になった。

出来上がったカツ丼と小鉢2つサラダとお味噌汁の乗ったトレーを持って席に着いた。

良いにおい。お腹すいたぁ〜

アクリル板に囲われて一方を向いているので、ここからはマスクを外して黙食だ。
玉ねぎもあまくてカツもサラダもお味噌汁も美味しいし、ご飯は半分にしたけれど。。。やっぱりボリューミーなランチとなった。
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