アクセサリーは 要りません
「俺が怖い?」

伊吹くんは怖くなかった。いつもの優しい表情ではなかったけれど、でも伊吹くんであることは変わらないから怖くはなかった。でも、やっぱり今までの彼女さんの事とか考えないわけではないし、今までのキスはマスクマジックだったから「特別」って思ってくれていたかもしれないし、私も又ヤキモチ焼いちゃうかもしれないし、それが怖い。

「ううん、怖いのは伊吹くんに
じゃなくて、私。
私が変わってしまいそうで怖い」

「俺は、もし惠美里が変わるなら
それを隣で見ていたいけれど?

好きだよ」

そう言って唇を合わせた。

何にも考えられない、私は頭が真っ白になって震えていた。息が苦しいし、身体はガチガチだし、もう何が何だか分からなかった。
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