アクセサリーは 要りません

「お疲れ様でした。
全然緊張していなくて
羨ましかったです」

「緊張でしたよ。
山口先生こそ、落ち着いた
自己紹介でしたよ。
こちらの卒業生で
いらっしゃったのですね。
また、色々教えてくださいね。
内緒ですけれど、私、
もう既に何度もこの中で
迷子になっているんですよ。
今度迷子になったら、
助けに来てくださいね?

あと、先生4年も先輩なんですね。
喋り方とか気をつけますね」

「いえいえ、
ここでの先生歴では同期です。
唯一の同期なので、
どうぞそのままで。
おっさん扱いない方が嬉しいです」

「おっさんって。

でも、分かりました。
じゃあ、タメってことで。
こちらこそよろしくお願いいたします」

私の挨拶の後、校長室から新任のスタッフの自己紹介が続いた。その後、保健の先生の感染防止の具体的な説明、最後に、校長室の生活指導の先生から「春休み気分を早く断ち切って学園生活モードにするように」と喝が入り始業式が終了した。

「宇部先生、山口先生、
良いご挨拶でした。
コロナ禍でのスタートとなりますが、
一緒に頑張っていきましょう。

宇部先生は、
この後、副担任の3年A組の教室に
行ってもらって良いですか?
指導教員の石川先生の
指示に従ってください」

「教頭先生、承知しました」

そう言って私は会議室を出て3年A組に向かった。
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