異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
――総介side


 真緒の腰を抱き寄せながら一瞬たりとも俺から離れないよう身体に引き寄せて歩く。病院の外は闇にのまれ肌寒い。


「真緒、これを着なさい。身体を冷やしてはダメだからね」


 自分の着ていたジャケットを彼女に羽織らせた。風邪でも引いたら大変だ。
 嬉しそうに「ありがとうございます」と照れ笑う真緒の顔が可愛くてつい場所も弁えずキスをしたくなる。
 チカチカと光るタクシーに乗り込み真緒の家まで向かった。


「身体は? 大丈夫かい?」


「はい、大丈夫です。私総介さんに相応しい女性になれるように頑張ります。もし、ココに赤ちゃんがいるなら尚更。……いいお母さんにもなりたいです」


 真緒は自分のお腹を優しい眼差しで見つめ両手をお腹に添えた。まだ検査をしていないから妊娠しているかどうかは定かではない。でもどうしてだろうか、不思議と真央のお腹の中に新しい命が宿っているようにしか思えなかった。真緒も同じような気持ちなのか彼女の顔はもう母親のような優しい表情になっている。
 女性というのはこちらが困ってしまうほど日々美しくなっていく。

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