異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
 お腹を触る真緒の手の上にそっと手を重ねた。

「俺は君が素敵な女性と思ったから好きになったし、プロポーズをしたんだよ。これ以上素敵な女性になってしまったら気が気じゃなくなるな。俺も頑張らないとね。二人で、頑張ろうか」

「……パパ、ですもんね」

 パパと言う言葉がやけにくすぐったい。まさか俺がそう呼ばれる日が来るなんて思ってもいなかったから尚更だ。

「あぁ。俺は君の夫であり、この子のパパだ」

 暖かくて穏やかな空気に身体全体を包まれているようだ。真緒の隣は出会った時から俺に安らぎを与えてくれる。

「お客さん、着きましたよ」


 タクシーの運転手に声をかけられ窓の外をみると彼女の住むアパートの目の前に着いていた。料金を払いタクシーを降りる。


「真緒、夜遅くになってしまったし、もしお母様が起きていたらお詫びを兼ねてご挨拶をさせてもらいたいんだが大丈夫かな?」


「え!? いや、そんな挨拶だなんて、それに今日の事は私の体調管理のせいでお詫びだなんてそんなっ」


「いやこういったことは初めが肝心だからな。お母さんには全てを話そう。君と俺の関係と、お腹の子の事もね」


「っつ……嬉しいですっ」


「また泣いて。ほら顔をあげなさい、可愛い顔が台無し……じゃなくて泣いてる顔もそそられてしまうな」
< 107 / 170 >

この作品をシェア

pagetop