異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
彼女は鞄から鍵を取り出し鍵穴に差し込む。ガチャリと空いた瞬間に母親の声が外へ漏れた。
「真緒っ! 心配したわよ! もう十時だっていうのに電話も出ないしメールも見ないで」
俺の顔を見るなり気まずそうな顔をする真緒が母親を宥めるように「心配かけてごめんね」と謝った。
「それでね、お母さん、少し話があるんだけどいいかな?」
真緒は不安そうに俺の方をチラッと見てアイコンタクトを送ってくる。半分開いていたドアを持ち開け「夜分遅くに失礼致します」と彼女の横に立ち深深と頭を下げると「えっと……」と明らかに動揺した彼女の母親の声が聞こえる。
「私、九条総介と申します。真緒さんと真剣にお付き合いさせていただいています。本日は真緒さんの体調がよろしくなく病院まで同行させていただきました。家までお送りするのが遅くなり申し訳ございませんでした」
「真緒、やっぱり体調が良くなかったのね。それは九条さんご迷惑をおかけ致しました」
真緒の母親はパジャマ姿に長い黒髪をひとつに縛っていた。身体が弱いと真緒が言っていたが確かに日に当たっていないような色白さで顔色が悪い。
「いえ、私は彼女の側にいる事しか出来ませんでしたので」
手に汗をかいてきた。どんな商談よりも彼女の母親と話す方が緊張する。伝えたいことは山ほどあるのになかなか言葉が出てこない。
「真緒っ! 心配したわよ! もう十時だっていうのに電話も出ないしメールも見ないで」
俺の顔を見るなり気まずそうな顔をする真緒が母親を宥めるように「心配かけてごめんね」と謝った。
「それでね、お母さん、少し話があるんだけどいいかな?」
真緒は不安そうに俺の方をチラッと見てアイコンタクトを送ってくる。半分開いていたドアを持ち開け「夜分遅くに失礼致します」と彼女の横に立ち深深と頭を下げると「えっと……」と明らかに動揺した彼女の母親の声が聞こえる。
「私、九条総介と申します。真緒さんと真剣にお付き合いさせていただいています。本日は真緒さんの体調がよろしくなく病院まで同行させていただきました。家までお送りするのが遅くなり申し訳ございませんでした」
「真緒、やっぱり体調が良くなかったのね。それは九条さんご迷惑をおかけ致しました」
真緒の母親はパジャマ姿に長い黒髪をひとつに縛っていた。身体が弱いと真緒が言っていたが確かに日に当たっていないような色白さで顔色が悪い。
「いえ、私は彼女の側にいる事しか出来ませんでしたので」
手に汗をかいてきた。どんな商談よりも彼女の母親と話す方が緊張する。伝えたいことは山ほどあるのになかなか言葉が出てこない。