異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
「俺の方こそお母さんを追い詰めるような形になってしまってごめんな」


 真緒の身体が小さく震えている。強く抱きしめたら壊れてしまいそうだ。


「きっとお母さんは真緒の事が大切で大切で側から離れて欲しくないんだよ。真緒が産まれた時からずっと二人で一生懸命生きてきたんだ。強い絆があるのは当たり前だよ。そんな真緒のお母さんの気持ちを蔑ろにはできない。俺は全然ヘコ垂れてないから、むしろもっと信頼してもらえるように頑張ろうと思ったよ。真緒が落ち込む事も謝る事もないんだよ、ね?」


 溢れ出してきた涙を今度は逃さぬよう拭い取り、深く深く彼女の涙が止まるまでキスをした。
 

「んっ……総介さんっ……」


 息をするのも惜しいくらいに絡み付いた唇は離れた時には少しヒリヒリした。


「真緒、愛してるよ」


「うぅ……私もです」


 涙は止まり赤く潤んだ瞳が俺をしっかりと見つめる。愛おしいと思う感情が身体の奥底から沸き上がり今すぐに抱きたい……身体が燻る。けれど、今じゃない。


「お母さんが心配だろう。寒いし家に戻りなさい。また明日十時に来ていいかな? お母さんの体調も心配だしもう少し後の方がいいだろうか」
 

「明日で大丈夫です。私も母の説得頑張りますね!」


「ありがとう。じゃあ暖かくして寝るんだよ? おやすみ」
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