異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
 帰り際にも心配だ、大丈夫かを繰り返しながら「あぁ仕事に行きたくない」とまで言い出した総介さんをアパートから背中をぐっと押して「頑張ってくださいね」と押し出した。なんだか物凄く過保護なパパになりそうだな〜なんて思った事は内緒だ。

「さてと」

 母の寝ている寝室のドアをトントンと叩く。


「お母さん、入るよ?」


 具合が悪いのか、それとも機嫌が悪いのかどちらか分からないけれど、壁の方を向いて眠っているようだ。せっかく良くなってきた鬱がまた酷くなってきてしまったのだろうか……私のせいだよね……


「お母さん、今検査したらやっぱり妊娠してたよ。でも私は本当に総介さんの事が好きだし、私は彼を信じてるから。総介さんは何度も何度も私の事を助けれてくれたんだよ。お母さんには心配かけちゃっただろうけど、お母さんにも信じてもらえると嬉しいな」


 寝ている母に聞こえてないと思いながらも私の思いを伝えた。その日はやはり母の具合はあまり良く無く部屋からほとんど出てくる事はなかった。お昼や夜ご飯は寝室に運んでおくといつの間にか無くなっていたのでご飯は食べて薬も飲んでいたみたいで少しホッとした。
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