異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
 翌日、私は仕事を休ませてもらった。ほとんど休んだ事がなかったので病院に行くので休ませてくださいと言ったら皆んな驚いて心配してくれていたが、なんとなくまだ妊娠確定ではないから産婦人科に行きますとは言えなかった。

 約束の十時に総介さんは迎えに来てくれ、総介さんの車の助手席に乗り込んだ。田圃、畑、を通り抜け大きい道路に出る。田舎道には似合わない高級車の窓から私は外を眺めていた。見る見るうちに景色は変わり高いビルが多くなってきた。えっと……今更だけど産婦人科ってどこの産婦人科?

「あの、総介さん。産婦人科ってどこの病院ですかね?」

「あぁ、東京の有名な産婦人科だよ。そこなら安心して真緒の事を任せられるからね」


 ああ、東京ね、どうりで景色が都会っぽくぐんぐん変わっていくと思っていたら……


「って東京ですか!? 私通えないですよっ! 車もないし、電車はよく分からないし」


 免許は学割のきくうちに取った方がお得だと思い学生のうちにバイト代で免許は取得したが車は私には高すぎて買えなかった。もっぱら自転車と徒歩で行動している私には東京は未知の領域だ。総介さんがいるならまだしも一人で検診に通うとなると……いや、でも英語じゃないからなんとかなるか!


「もちろん検診の時はなるべく俺が着いていくよ。そこで真緒に相談なんだが……」


 総介さんが私に相談? 初めてのことで驚いた。なんだろう。気になる。

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