異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
「山咲さんは、妊娠検査希望ですね。では内診台の方へ移動してください。旦那さんはここでお待ちくださいね」


 初めての内診台は恥ずかしいと痛いとでいっぱいいっぱいだった。
 下着を脱ぐのもなんだか恥ずかしいし、なにより相手は女性と分かっていても足を全開に開く格好がなんとも言えない気持ちになりつつ、ゆっくりと入れられた測定器というものは冷んやりと冷たくて、少し痛い。グリグリ回され、ますます痛みが増す。異物を挿入された感が物凄く気持ち悪さも少しあり身体が強張ってしまった。


「うん、胎嚢がありますね。山咲さん、妊娠なさってますよ」


「あぁ……本当ですか。嬉しいです」


 市販の妊娠検査薬で検査していたはずなのに本当に妊娠しているか本当は少し不安だった。けれど妊娠していると先生に言われた瞬間パチンっと張り詰めていた糸が切れたかのように身体の力が抜ける。
 素直に嬉しいと言葉が出た。ジワっと目頭が熱くなり泣きそうになる。


「じゃあ診察室の方へお戻りください」


 診察室へ戻ると眉を下げ不安そうな表情で私を見つめる総介さんの隣へ座り「妊娠してました」と小声で伝えると、パァッと子供のように表情がコロッと変わった。


「あぁ、良かった、安心した。本当に嬉しいよ」


「はい」


 総介さんの瞳がみるみるうちに赤みを帯び、私に満面の笑みを向けてくれた。その瞬間に目尻に光り輝く雫が見え、本当に喜んでくれているんだ、と嬉しくて私も泣きそうになってしまった。
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