異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜

「お二人ともおめでとうございます。まだ妊娠六週目なのでしっかりと心音は確認とれていませんが、この小さくて黒いのが赤ちゃんですよ」


 エコーに映し出された小さな黒い粒が赤ちゃん。なんだか不思議だ。まだ全く人間の形をしていなくて、こんな黒い粒なのに愛おしく感じる。


 私たちの赤ちゃんが今このお腹にいるなんて……


 ずっと熱を持っていた目頭からポロリと頬をつたり涙が流れた。


「真緒、本当にありがとう。本当に俺たちの子供が真緒のお腹の中にいるんだな。俺は世界一幸せだよ」


「っう……総介さん……」


 止めどなく流れる涙を総介さんは約束通り指で掬い取ってくれた。


「ふふ、パパとママが仲良しな事がお腹の中の赤ちゃんも一番喜びますからね。こんなに喜んでもらえてお腹の中できっと喜んでますよ」


 先生からの優しい言葉に私の涙はさらにあふれ出した。


「っつ……あ、ありがとうございます……」


 大泣きしながら診察室を出た物だから物凄く他の患者さんに見られていた気もしたが私は暫くの間涙を止める事ができなかった。 
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