異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
パンパンと大きくて低い音。でも今日は手を叩く音がいつもより小さく聞こえる。
「リハ終わりますー! あと三十分後に会場となります。皆さん準備の方お願いします!」
礼央さんの大きな声がホールに響く直前で吸い取られた。
今日は待ちに待った定期演奏会の本番。結局ブラックグローリーホテルでの演奏会に正式に決まり、ポスターやチラシでの宣伝に加え、今回はグローリーホテルの公式サイトにも宣伝を乗せてもらえた。そのおかげか二千人入るホールは満席。昔からのお客様も東京と遠い場所になっても足を運んでいただけている。もちろん総介さんとお義父さんにも関係者席の一番見やすい場所を用意した。私の母はまだ人混みに入るのは難しいので後日DVDを一緒に見る約束をしてある。
ステージ裏に控え、開演まで待つ数分の時間。この始まるまでの時間が緊張と楽しみで身体が高揚しているのが分かる。
「真緒ちゃんニヤけてるよ〜いつも通りだね」
「だって緊張するとどうしてもニヤけちゃうんですよ〜、あ〜手汗止まんない!」
黒のパンツに手をあて手汗を吸い取らせる。汗で指が滑ったら大変だ。
「ほら、始まるよ!」
ついに待ちに待ったこの日が始まる。
「はいっ!」