異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
 結局私はお言葉に甘えてタクシーに乗り込み二人でホテルへ向かった。劇場の時に隣に座っていた距離なんかよりもっと近い。少しでも動いたら肩が当たりそうで車の振動で当たらないように身体に力を入れて座る。でも少しだけ、少しだけ触れたい、そう思ってしまう自分が居た。


「君の名前と部屋の番号を教えてくれるかい?」


「あ、山咲真緒です。番号はEの203です」


「真緒か、素敵な名前だね。真っ直ぐな瞳の君にピッタリの名前だ」


「やっ、そ、そんな事ないです。わ、私もお名前伺ってもいいですか?」


「俺は九条総介(くじょう そうすけ)」


「総介さん……」


 ホテルに着くまでの間はさっき観たオペラの話で盛り上がった。楽しすぎて自分が引ったくりにあった事さえも忘れそうになるくらい夢中で総介さんと語り合っていた。
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