異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
 総介さんの言ったとおりワインとチョコレートの組み合わせも美味しかった。
 美味しいワインとテーブルの上のご馳走を食べながらまた今日のオペラの感想を言い合った。音楽の話しかしていないのに会話は途切れる事なく弾む一方。殆ど私がペラペラと話して総介さんが相槌を打ったり、たまに自分の感想を言ってくれたりと、総介さんの声が耳に入る度に心地が良くて心が穏やかになる。この人と一緒にいると楽しい、安らぐ、それが率直な総介さんへの思いだった。苦手な男性に対してそんな風に思うのは生まれて初めてだ。
 つい楽しくてワインを飲むペースが早くなる。


「そういえば、真緒はオーボエを演奏していると言っていたね。いつか君の演奏も聞いてみたいな」


「いやいや、今日のオーケストラの後なんかに聞いたら私の音なんて貧相すぎて聞かせられないですっ!」


「そんな事はないだろう。音の感じ方は人それぞれだからね。きっと俺にはとても真っ直ぐで素敵な音に聞こえると思うよ」


「あ、ありがとうございます」


 照れ隠しでゴクンとワインを飲み干す。アルコールが身体の中を巡るように流れていくのを感じた。
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