異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
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 潤んだ瞳は別に俺の事を誘っているわけでも無く、紅潮した頬もアルコールを含んだせいだろうか。それが何故か寂しく感じた。俺の事を彼女は男として少しも意識してくれていないのだろうか。確かに俺の方が一回りくらい年上だろう、もしかして保護者ポジションで見られているのか? 女性と別れるのがこんなにも寂しく、まだ帰したくないと思ったのは人生で初めてだ。
 自分から彼女にミネラルウォーターを差し出しておきながら本当はまだ帰りたく無い、とその柔らかそうな唇から言って欲しい、そう思っていた。少しずつ減っていくミネラルウォーター。水を含む艶やかな唇に触れたい……後三口くらいだろうか、飲んだら無くなってしまうミネラルウォーターに縋りたい。
 あと少し、あと少しで彼女を部屋に送らなければならない。送りたくないと思ってしまっている自分がいる。
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