異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜



 パンパンっと自分なりに張りのある拍手音を出し音楽室全体の音を止める合図を出す。

「チューニングします」

 私は大きく息を吸いA(アー)の音の音程を正確に真っ直ぐブレないようにロングトーンで吹き続ける。周りの演奏者たちが私が吹き伸ばすオーボエの音に合わせてチューニングを始めた。これが上手くいくとスッと早く終わるのだが、なにせ一般人の楽団なので個人差がある。なかなかチューニングが合わない時はかなりの長い時間のロングトーンに息が苦しくなる。吹き終わった後は大きく息を吸い呼吸を整えた。
< 47 / 170 >

この作品をシェア

pagetop