クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
「和優、前から聞こうと思ってたんだけど…ダンナと上手く行ってないの?」
涼真の運転で東京に帰る途中、いきなり尋ねられて和優は焦った。
「涼くん…。そんなことな…。」
「ホストクラブに来てる時点でおかしいと思ったけど。」
「そうだったの…。」
「今日、あまりにも真剣に店の話してるからさあ。」
「うん、早く離婚したいとは思ってるよ。」
つい、涼真には本音を言ってしまう。
「そうか。」
「上手く行ってないんじゃない、始まってもいないんだ。」
「はあ?意味わかんねえ。」
「フフツ、そうよね。私にもわからない。」
その後は、車の中は涼真の好きな音楽が流れるだけだった。
『私ったら…始まってもいないのに、どうして終わらせたいんだろう…』
それは、側にいるのが辛いほど好きになっているのだとは気付いていなかった。