クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
「私が、パン屋さん…。」
「和優ちゃんは、カフェもあるパン屋さん開きたいって言ってたもんね。」
「いえ、開きたいとまでは…。」
ここに来た頃、カフェのあるパン屋さんに魅かれたのは事実だ。
「どうかしら、前向きに考えてみたら?」
麻美も勧めてくれる。
「まずは、旦那様と相談よね。社長夫人がオーナーになるなんて…。」
「いえ、これは私自身の事なので、一人でゆっくり考えます!」
「そ、そうか…。そうだね、和優さんの人生だからね。」
和優の剣幕に、麻美は驚いた。
このころには、流石に篠塚夫妻も和優と柊哉の夫婦関係に疑問を感じていた。
お互いに好きな事をする自立した夫婦関係なのかと思いもするが、
それにしては、あっさりし過ぎている。
秋以来、夫婦で来ることも無い。
和優に聞いても『夫は仕事が忙しい』の一点張りだ。
夫に内緒でここに通い詰めている和優の姿は、
主婦の片手間とは思えない程、あまりにも真剣だったのだ。
『手に職をつけたい』なんて、社長夫人が考えているとは麻美も思っていなかった。