「お前は一人でも大丈夫」ですって?!~振る際の言葉にはご注意下さい。
陽翔くんはホントに泊まっていく気よね。
終電も出てしまったし、ここから放り出すのもどうかと思うし……。
「…………」
あれ?ちょっと待って……。
これ、もしかして……まずい状況じゃない?
シャワー浴びてこいって言っちゃったけど、それって私が誘ってるみたいじゃない?
えっと……。
私は次にどんな行動をとればいいわけ?
千夏はリビングをうろうろしながらも、陽翔の部屋着を準備して脱衣所の扉を開いた。するとそこにはバスタオル一枚の陽翔が立っていた。スラリと伸びた手足、染み一つ無い肌、腹筋は綺麗に割れていて、まだタオルで拭ききれていない身体から、水滴がポタポタと落ちては、下に置いてあるマットが吸い取っていく。陽翔のその美しいその姿に、千夏は見とれずにはいられなかった。
目が離せない。
きれい……。
「……さん……、千夏さん?」
いつの間にか目の前に来ていた陽翔に驚き、千夏はそこで陽翔から目を逸らした。
ひぇー。今、見とれてた。
時間の感覚も分からないくらい見とれてたよ。
「ごごごっ……ごめんなさい。これ良かったら使って」
「これは?」
「うちの会社で作った男性用の部屋着よ」
「へー。こういう物も作ってるんですね」
千夏はそれを陽翔に手渡しリビングに戻ると、気持ちを落ち着かせるためソファーに座り、近くにあった雑誌を開いた。内容は何も入ってこないが、それを見ているだけで、少しは落ち着く気がした。しかし、やっと落ち着いた心臓がまたも、バクバクと動き出す出来事が起こる。
「ははははっ……はる、陽翔くん、どうして服を着ていないのかな?」
「ん?だってまだ暑くて」
リビングへとやって来た陽翔は上半身、何も着ていなかった。
下は着ているのね。
ズボンは着ていることにホッとするも、目のやり場に困る。そっと千夏が陽翔から目を逸らすと、ギシリとソファーが揺れた。その次の瞬間千夏はソファーの上に仰向けになっていた。
あれ?
気づけば千夏の上に陽翔が覆いかぶさるような形で乗っている。千夏の顔の横にある陽翔の腕は太く、男の人の物で、かわいい顔をしていても、目の前の人物が男だと言うことを思い知らされる。