ふんわり王子と甘い恋♡
明るくなった教室で、桑野が鞄からノートを取り出した。
「じゃあ住人の設定紙に書いてくんで、思いついたことなんでも言ってってください」
「桑野お前、しっかりしてんなー」
「菊地先輩がいなきゃ、このグループ誰もまとめ役いないじゃないですか」
「確かに。きくりんはしっかりしてるようで案外抜けてるからな」
「雄介先輩には言われたくないです」
「うおい!」
全体リーダーの菊地先輩がいない中、なぜかグループのリーダーみたいにしきる、桑野。
床の上にルーズリーフを置いて、思いつく設定をどんどん書いていく。
「大ちゃんさん、この紙に部屋の内装書いてください。それの通りにみんなで作りましょう」
「え、……お、れ、?」
「大ちゃんさん以外、絵なんて描けないでしょ?」
「俺も意外とうまいん、」
「雄介先輩の絵は旗係のとき見てるんで、大丈夫です」
「……。」
本当にしっかりしてる桑野は、どんどんグループをまとめてく。
すごい……1年生なのに、3年生に仕事を指示するって。
「桑野、お前大ちゃんだけがすごいと思ってんだろ」
「大ちゃんさんはすごいんです。あの旗ほんとに感動したし。すごいのに威張らないからより一層すごいんです」
「俺だって威張らねぇよ?」
「雄介先輩は威張る理由がないからですよね?」
「ブハッ」
桑野の的確な物言いに、山本先輩が吹き出した。